日本の折り紙文化は、鎖国が解けた明治期に意外な形でグローバルな教育理論と融合する。ドイツの教育学者フリードリヒ・フレーベルが創案した幼稚園教育(キンダーガルテン)システムにおいて、紙折り(Falten)は幼児の空間認識力と幾何学的直感を育む重要教材として位置づけられていた。
明治政府が近代教育制度を整備する過程で、このフレーベル流の教育的折り紙が日本へ導入された。古来の伝承折り紙が持っていた柔軟な見立て遊びと、西洋近代の論理的・幾何学的なアプローチが教室で出会ったのである。正方形の対角線、二等分線、対称性。子どもたちは指先を動かしながら、無意識のうちに近代数学の基礎概念を吸収していった。東西の知性が交差したこの瞬間、折り紙は普遍的な知育ツールとしての地位を固めた。