モッパンの爆発的な拡散を決定づけたのは、音響技術の進化である。高性能なバイノーラルマイクが捉える、サクサクとした衣の破砕音、麺をすする湿り気のある音、喉を鳴らして炭酸を流し込む音。これらがASMR(自律感覚絶頂反応)のトリガーとなり、脳に心地よい痺れとリラクゼーションをもたらす。
日本のテレビ番組でおなじみだった大食い(フードエンターテインメント)は、制限時間内にどれだけ詰め込めるかという「競技」だった。しかしモッパンは異なる。主眼はスピードではなく、咀嚼の快感と食のシズル感だ。視聴者は画面を通じて、自らの味覚と聴覚を拡張されたような疑似体験を味わう。ダイエット中の空腹を満たす代償行為としても、この上ない効果を発揮している。