これまでの抹茶といえば、複数の産地や品種を掛け合わせた「合組(ごうぐみ)」による安定したブレンドが主流だった。しかし、京都を中心とする製茶業の現場では、単一品種・単一農園にこだわる「シングルオリジン宇治抹茶」へのシフトが急速に進んでいる。ワインのようにテロワール(土壌や気候)や品種ごとの個性をダイレクトに味わう時代が到来したのだ。
「あさひ」の気品ある甘み、「さみどり」の鮮やかな色香、そして「ごこう」が放つ独特の覆い香。一杯ごとに異なる表情を見せる抹茶は、従来の「苦くて濃い」という画一的なイメージを鮮やかに覆す。生産者の顔が見えるトレーサビリティの高さも、本物志向の若年層を惹きつける大きな要因となっている。