家庭での穏やかな顔とは対照的に、役者としての三浦友和は常に挑戦と変革を繰り返してきた。かつて「百恵の夫」「爽やかな二枚目」というパブリックイメージに苦悩した時期もあったが、50代以降の彼は圧倒的な演技力でその殻を打ち破る。
北野武監督の映画『アウトレイジ』シリーズで見せた冷徹極まりないヤクザ幹部役は、それまでのクリーンなイメージを鮮烈に覆し、観客と批評家を唸らせた。一方で、富山地方鉄道を舞台にした映画『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』では、定年を控えた実直な運転士役を熱演。不器用ながらも家族と向き合う男の葛藤を繊細に演じ切り、日本アカデミー賞優秀主演男優賞に輝いた。暴力と哀愁、静と動。どちらの極端な世界観も成立させる存在感は、日本映画界において極めて稀有なものだ。