1983年2月にリリースされたU2のサードアルバム『WAR(闘)』は、彼らのキャリアにとって決定的なターニングポイントとなりました。デビュー作『Boy』、セカンド作『October』で見せた内省的で若々しいスピリチュアリティから一転、バンドは世界の激動に真正面から対峙する姿勢を鮮明に打ち出します。
プロデューサーには前2作に引き続きスティーヴ・リリーホワイト(Steve Lillywhite)を迎え、過剰な装飾を削ぎ落としたソリッドで攻撃的なサウンドを構築しました。北アイルランド紛争の惨劇を告発したオープニングトラック『Sunday Bloody Sunday(ブラディ・サンデー)』と並び、このアルバムの牽引役となったのが先行シングル『New Year's Day』でした。
当時、1980年代初頭の英米ヒットチャートは、シンセポップやニューロマンティックといった煌びやかで快楽主義的な音楽が席巻していました。その中にあって、ミリタリー調の硬質なドラムと生々しいメッセージを携えたU2の登場は、シーンに強烈な衝撃を与えます。混迷を極める冷戦構造や核戦争の脅威に対し、若者の怒りと祈りをダイレクトにぶつけた本作は、全英アルバムチャートでマイケル・ジャクソンの『Thriller』を破り初の1位を獲得。U2は「時代と戦うバンド」としての確固たる地位を確立しました。