プロの壁は高かった。1軍のトップレベルの投手陣が繰り出すキレのある直球と、鋭く変化する変化球。それらに翻弄され、自分の打撃を見失いかける時期もあった。1軍への完全定着を果たし、真の覚醒を遂げるために、彼が着手したのが大胆な打撃フォームの改造だった。
以前のフォームは、全身の筋力を生かした力任せのフルスイングが持ち味だった。しかし、それでは外角低めのスライダーや手元で伸びる直球に対応しきれない。そこで取り組み始めたのが、ステップ幅の微調整とトップの位置を低く抑えるフォームへの移行だ。余計な頭部の上下動を抑え、ボールを呼び込んで叩く意識を徹底した。軸足にしっかりと体重を乗せ、下半身の捻転差を最大限に利用することで、振り遅れることなく右中間・左中間へと打球を飛ばせるようになった。
このフォーム改造は、確実性と飛距離の両立という難題を解決した。コンタクト率が向上したことでカウントを優位に進められるようになり、甘く入った球を一振りで仕留める破壊力が一段と増した。この進化こそが、彼が1軍の定着枠を力ずくで引き寄せた最大の秘話である。