シリーズ全体の骨格を設計した鬼才ハンス・ローセンフェルトの手腕は凄まじい。彼が描く犯人「真実のテロリスト」は、単なる快楽殺人者ではない。格差社会、移民問題、福祉の崩壊、官僚主義の腐敗といった北欧社会の暗部を次々と告発し、市民の支持を集めながら警察を翻弄する。
正義とは何か、法とは誰を守るためのものなのか。犯人が突きつける理不尽な問いは、捜査官たちだけでなく画面の前の私たち自身の倫理観をも激しく揺さぶる。クライムサスペンスの枠組みを借りて、現代文明の欺瞞をえぐり出す構成の巧みさはまさに圧巻の一言に尽きる。