日本国内の臨床現場において、診断と治療の羅針盤となっているのが日本乳癌学会が編纂する乳癌診療ガイドラインである。MINDSガイドラインセンターの厳格な評価基準に準拠して策定されるこの指針は、国内外の膨大な臨床試験結果をメタ解析し、常に科学的根拠に基づいた推奨度を提示している。
近年のガイドライン改訂において際立つのは、多遺伝子アッセイ(オンコタイプDXなど)の活用により、化学療法を真に必要とする患者と省略可能な患者の選別がより厳密化された点だ。腫瘍内科学の専門医たちは、単に腫瘍を叩くだけでなく、患者の将来の生活の質(QOL)を見据えた治療強度の最適化を議論の俎上に載せている。エビデンスの集積によって、無駄な副作用を回避する「引き算の医療」が定着しつつある。