近年、高校野球界では私立強豪校による全国からの精鋭スカウトが主流となっていた。しかし、今年の福山代表が見せた戦いぶりは、その潮流に対する鮮烈なアンチテーゼとなった。ナインの過半数が地元・福山市内の小中学校出身という生粋の地場チーム。厳しい練習環境のなか、地元の社会人野球チームや大学の指導陣と連携したオープンなトレーニング体制を構築したことが、土壇場での圧倒的なスタミナとメンタルのタフさにつながった。
主将を務めた選手は試合後のインタビューでこう語る。「僕たちは特別なエリートではありません。福山の河川敷で泥だらけになって白球を追ってきた仲間たちです。甲子園のグラウンドに立った瞬間、スタンドだけでなく福山にいるすべての人たちの思いが背中を押してくれていると感じました」。その言葉どおり、地域総出で育て上げた育成モデルが全国最高峰の舞台で結実した格好だ。