破天荒で金に汚く、日常的にトラブルを引き起こす両津勘吉。しかし、彼の真骨頂は時折見せる泥臭くも温かい人間味にこそある。ファンの間で「泣ける神回」として筆頭に挙げられるのが、下町での幼少期の思い出を描いた郷愁漂うエピソード群だ。
特に少年時代の親友との切ない別れと数十年ぶりの再会を描いた「浅草物語」などは、ノスタルジックな空気感と切なさが凝縮された屈指の名作として知られる。普段は強欲な両さんが、誰かのために見返りを求めず体を張る姿や、ふと言い放つ無骨ながらも芯のある言葉は、読者の胸に強く刺さる。義理と人情を何よりも重んじる男気。それこそが、時代が変わっても人々の心を掴んで離さない理由だ。