この長年のジレンマを打破したのが、白物家電業界とアパレルメーカーによる技術革新の交差だ。青山商事株式会社をはじめとする大手スーツ量販各社は、W&W性(ウォッシュ&ウェア性)最高水準を誇る形態安定加工(ノンアイロンシャツ)の分子結合構造を刷新。ポリエステルとコットンのハイブリッド混紡糸に特殊な熱可塑性樹脂を浸透させ、温風を受けることで自発的にシワを伸ばす形状記憶性を劇的かつ強固に高めた。
これに呼応したのが、ドラム式洗濯乾燥機の主役に躍り出たヒートポンプ乾燥技術である。従来のヒーター式のように80℃前後の高熱で衣類を焼き焦がすように乾かすのではなく、除湿機と同じ原理で約60〜65℃の低温・低湿な乾いた風を大風量で循環させる。この「低温乾燥」と「繊維の自己復元力」が組み合わさった瞬間、アイロン不要の完璧なドレッシーさが成立する。