ひこばえが突然勢いよく生え始めた場合、単なる成長現象ではなく、樹木が命の危機を感じて出しているSOSサインである可能性を疑わなければなりません。木は地上部の幹や枝に何らかのトラブルが発生した際、生き残りをかけて自衛本能的に根元から新たなシュート(芽)を一斉に吹き出させます。
具体的な発生原因として、主に以下の4つの要因が挙げられます。
① 枝の強剪定による反動
一度に葉や太枝を落としすぎると、光合成を行える面積が激減します。樹木は失われた葉の面積を補うため、眠っていた地際の芽を目覚めさせて緊急で枝を伸ばそうとします。
② 根の呼吸不全・土壌環境の悪化
踏み固められた土壌、過湿による根腐れ、あるいは強風で根が揺さぶられて断線した場合、上部へ水を吸い上げられなくなります。このとき地上部が枯れ始める前に、根元から新芽を出して個体を維持しようと試みます。
③ 幹の病気や害虫被害
幹の内部をテッポウムシ(カミキリムシの幼虫)に食害されたり、腐朽菌によって幹が空洞化すると、主幹の道管が途絶えて養水分が上へ巡りません。これにより主幹の衰退が進み、下部に栄養が滞留してひこばえが群生します。
④ 樹木の高齢化と自然な世代交代
寿命が近づいた古木は、主幹を自ら枯らして新しい幹へバトンタッチしようとします。根元に太いひこばえが何本も生え、主幹の先端から枯れ込みが見られる場合は、木全体の樹勢衰退の明確なサインと判断できます。