岸信介が残した影響力は、その血脈を通じても現代へと直結している。実弟である佐藤栄作は、首相として沖縄返還や非核三原則の策定を成し遂げ、ノーベル平和賞を受賞した。兄弟で合計11年以上にもわたって日本の頂点に君臨した事実は、日本政治史において特異な存在感を放つ。
さらに、外孫にあたる安倍晋三は、祖父・岸信介を公私にわたり深く敬愛していた。安倍が掲げた「戦後レジームからの脱却」、集団的自衛権の行使容認を含む平和安全法制の制定、そして憲法改正への強いこだわりは、まさに岸の未完の宿願を継承したものだった。岸の政治信条は、半世紀以上の時を越えて平成から令和の国家戦略へと受け継がれ、日本の安全保障論議を動かし続けている。