伝統的な和食の定番である揚げ浸しは、大量の油で揚げる工程がネックになりがちだった。しかし昨今、フライパンに深さ5ミリ程度の油を引いて皮目から焼きつける「焼き浸し」や、電子レンジを活用したノンオイルの浸し料理へと進化を遂げている。冷たい特製ダレに熱々のナスをジュッと漬け込む温度差を利用した浸透圧テクニックにより、短時間で芯まで出汁を行き渡らせることが可能になった。
栄養面からもこの調理法は極めて理にかなっている。皮に豊富に含まれる特有のアントシアニン系ポリフェノール「ナスニン」は、強力な抗酸化作用を持ちながらも、熱や長時間の加熱によって退色しやすい繊細な成分だ。油で皮目を素早くコーティングして高温で手早く火を通すことで、鮮やかな紫の輝きを保ち、栄養素の流出を最小限に防ぎながら視覚的にも美しい一鉢を完成させられる。