1980年代、フジテレビジョンが放映を開始した特別番組『ムツゴロウとゆかいな仲間たち』は、最高視聴率30%超を叩き出す国民的オバケ番組となった。南米のアナコンダ、アフリカのゾウ、アラスカのオオカミ。世界のあらゆる猛獣とスキンシップを交わす「よーし、よしよし」のフレーズは、日本中のお茶の間を釘付けにした。
1986年には監督を務めた映画『子猫物語』が公開される。チャトランとプー助の冒険を描いたこの作品は、当時の邦画配給収入記録を更新する大ヒットを記録。アメリカをはじめ世界各国でも公開され、国際的な評価を獲得した。日本のテレビ・出版業界において、野生動物や自然をエンターテインメントの主役に押し上げた功績は、すべて畑氏の手腕によるものだ。
だが、その裏には徹底した観察眼と、いつ命を落としてもおかしくない極限の緊張感があった。指を噛みちぎられてもカメラの前で平然と撮影を続けた伝説的なエピソードは、単なる蛮勇ではない。動物の生態を完璧に理解し、恐怖心を完全に制御した者だけが到達できるプロフェッショナリズムの結晶だった。