「自分は若いから重症化しない」という過信は、脳血管のトラブルにおいては通用しない。若年層の患者で特に目立つのは、典型的な片麻痺だけでなく、一見すると疲労やストレスと見紛うような非典型的な前兆サインだ。軽度のふらつき、視野の一部が欠けるような違和感、スマートフォンの文字が一時的に読めなくなる失読症状、あるいは日常的な言葉がパッと口から出なくなる軽度の失語などが、本格的な脳梗塞発症の数時間から数日前に現れることがある。
日本脳卒中学会が普及を急ぐ「FAST(顔のゆがみ:Face、腕の脱力:Arm、言葉の障害:Speech、発症時刻の確認と救急要請:Time)」の原則は、感染後の回復期にある全年代が頭に叩き込んでおくべき指標だ。神経内科学の専門医らは、一過性脳虚血発作(TIA)と呼ばれる「症状が数分から数十分で自然に消えてしまう現象」を決して放置してはならないと強く訴える。症状が消えたとしても、それは巨大な血栓が完全に血管を塞ぐ前の一時的な兆候に過ぎず、直ちに専門医療機関を受診しなければ取り返しのつかない後遺症を招く。