洗練されたメタバースや、AIが生成する完璧なビジュアルに囲まれて暮らす現代の私たちにとって、かつての展示物たちが放っていた「不完全なリアル」は新鮮極まりない。SNS上では、当時撮影されたフィルム写真や粗い画質のガラケー画像がハッシュタグとともに拡散されている。そこにあるのは、今の観光地が失ってしまった「怪しさ」だ。
綺麗に整えられた令和の東京タワーも魅力的だが、あの薄暗いフロアに一歩足を踏み入れた瞬間の、ゾクッとするような緊張感を求める声は絶えない。ネットの普及によってすべてが可視化された現代だからこそ、あの場所に漂っていた「何を見せられるかわからない不安と興奮」が、一種のロマンとして消費されているのだ。