愈史郎を語る上で絶対に外せないのが、珠世に対する狂おしいほどの情愛です。彼の行動原理は「珠世の役に立つこと」「珠世を守ること」「珠世を侮辱する者を許さないこと」に集約されており、普段の言動からもその心酔ぶりがうかがえます。
出会った当初の炭治郎に対しては、珠世の美しさを認めない態度に激怒し殴りかかるなどコミカルな一面も見せました。しかし、人を喰らわず自制し続ける禰豆子の存在を目の当たりにし、浅草での戦闘を経て、徐々に炭治郎たちを認めていきます。浅草を去る際、愈史郎が炭治郎に投げかけた「お前の妹は美人だよ」という言葉は、彼が頑なな態度を軟化させ、心を開いた瞬間を象徴する名シーンの一つです。
愈史郎にとって珠世は、単なる命の恩人や主人ではなく、自らの存在理由そのものでした。珠世が無惨への復讐のために命を捨てる覚悟であることを知りながらも、彼女の願いを叶えるためにすべてを捧げる姿は、痛々しいほどの純愛として描かれています。