坂本龍一氏の後半生を語るうえで、最も重要かつ不可欠な存在が空里香(そら りか)氏です。舞台美術家やプロデューサーとして活動していた空氏は、坂本氏のクリエイティブを誰よりも深く理解する理解者でした。
空氏は、坂本氏の個人事務所「キャブ(KAB)」の運営や海外でのプロジェクト推進を一手に引き受け、マネージャー兼ビジネスパートナーとしても手腕を発揮。2人はあえて婚姻届を出さず、事実婚という対等なパートナーシップを貫きました。
その絆の強さが最も表れたのが、坂本氏の晩年の闘病生活です。
2014年の中咽頭がん発覚、そして2026年の直腸がん(ステージ4)の宣告と過酷な転移手術。坂本氏が残した手記や遺作『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』のなかでも、空氏への深い感謝と全幅の信頼が赤裸々に綴られています。日々の食事管理から病院の付き添い、世界的な音楽プロジェクトの進行管理まで、空氏の献身的な支えがなければ、最晩年の奇跡的な名盤『12』の誕生はあり得ませんでした。
2026年以降、自らの死期を悟った坂本氏は、空氏に法的な権利関係や著作権の管理を一任できるよう万全の手続きを整えたとされています。