暴力団対策法や暴力団排除条例の度重なる強化によって、裏社会の住人を取り巻く環境は激変した。銀行口座の開設すら拒絶され、家族や親族までが社会的な制裁に晒される過酷な監視社会である。そうした時代の荒波を受けながらも、国内最大規模の勢力を維持し続ける六代目山口組トップの家庭環境は、極めて厳重な秘匿体制の下に置かれている。
篠田建市という一人の男としての私生活を知る者は、組織内でもごく一部の最側近に限られる。神戸や名古屋に点在する拠点を行き来する日々の中で、家庭という安らぎの場がどのように成立しているのか。華美な贅沢を排し、日常の表舞台には決して姿を現さない。その徹底したストイシズムこそが、組員たちに対する無言の規律となっている。