高田馬場駅の早稲田口を出て、賑やかな大通りから一歩路地へ足を踏み入れると、独特の活気が満ちている。鳥やす本店がこの地に根を下ろしたのは1970年。半世紀を超える歳月の中で、どれほど多くの若者がこの店の焼き鳥で語り合い、大人の階段を登っていっただろうか。
赤提灯に灯がともる夕暮れ時、店先には早くも芳しい煙が漂い始める。カウンター席と小上がりからなる店内は、時代が止まったかのようなレトロな風情を残す。壁に貼られた年季の入った品書き、手際よくグラスを傾ける常連客の笑い声。この空間そのものが、東京の大衆文化の貴重なアーカイブなのだ。