台風被害の主因が風から水へと劇的にシフトしている。台風本体を取り巻く外郭環状降雨帯に加え、遠く離れた暖湿流が刺激されて発生する積乱雲の列——いわゆる「線状降水帯」の同時発生だ。これが一度形成されると、同じ地域に数時間にわたって猛烈な雨が降り注ぎ、河川の氾濫や大規模な土砂災害を引き起こす。
「風のピークは過ぎた」という安心感が命取りになる。台風の中心が数百キロ離れていても、暖かく湿った気が山地にぶつかることで局地的な極端豪雨が誘発される。台風の進行速度が遅い場合、その被害面積と浸水深は過去の統計データを容易に突破してしまう。