動物病院の問診で非常に多く見られるのが、「毛玉を吐こうとしているが出ない」と来院し、実際には気管支炎や猫喘息(ぜんそく)を患っていたケースです。呼吸器疾患による咳と消化器の嘔吐反射は、一見すると非常によく似た姿勢を取るため、飼い主の誤認が起こりやすいポイントです。
猫の毛玉吐きと咳の見分け方における最大の識別ポイントは、「お腹(腹筋)の動き」と「首の角度」にあります。
毛玉を吐く動作では、四肢を突っ張って背中を弓なりにし、胃の内容物を押し上げるために「腹部が激しく波打つような大きな収縮運動(レッチング)」が起こります。一方、喘息などの咳発作では、首を地面すれすれまで水平に伸ばし、「ケホッケホッ」「ゼーゼー」と乾燥した音を出しながら喉を鳴らします。この時、お腹の激しい波打ちは見られず、最終的に何も吐き出さずにペロッと舌を出して終わることが大半です。
誤った判断で様子見を続けると、呼吸困難を引き起こす恐れがあります。判断に迷った際は、スマートフォンで発作時の動画を20〜30秒間撮影し、獣医師に直接提示することが確実な診断への近道です。