退所発表時、彼女が掲げていた大きな目標が「イタリア留学」でした。海外のカルチャーやアートに触れ、視野を広げるための渡航が2026年4月に予定されていましたが、直前に発生した新型コロナウイルスの世界的大流行により、出国の中止を余儀なくされます。
拠点を海外に移すはずの計画が初手で白紙となり、精神的にも大きな試練を迎えました。しかし、この足止め期間が結果として彼女の内省を深める契機となります。本名の藤原史織(ふじわら しおり)として自分自身を見つめ直し、岡山で育った幼少期や、教員を目指して通っていた島根大学教育学部(後に中退)時代の原点に立ち返る時間を得たのです。
イタリア渡航の挫折は、彼女にとって「場所を変えることだけが人生の変革ではない」と気づく契機となり、日本国内にいながら自身の知性と感性を磨き直す文筆活動への原動力へと昇華されました。