ここ数年、製菓業を取り巻く環境は激変した。一般社団法人日本洋菓子協会連合会などの業界動向を見ても、消費者の味覚に対する審美眼はかつてないほど肥えている。既製品を買い求めるだけでなく、自らオーブンに向き合うホームベーキングの愛好者層が、驚くべきスピードで拡大を続けているのだ。
この潮流を強力に牽引しているのが、製菓材料や専門器具の流通革命である。株式会社富澤商店の店頭にはプロ仕様のクーベルチュールチョコレートや産地別小麦粉がずらりと並び、株式会社cottaが展開する洗練されたラッピング資材やオリジナル型は、初心者でもクリック一つで手に入るようになった。専門店でしか手に入らなかった高品質な素材が一般家庭の日常に溶け込んだことで、手作りとプロの仕上がりの境界線は急速に曖昧になりつつある。