夏八木勲が体調の異変を感じたのは、亡くなる前年の秋頃だったという。精密検査の結果、医師から告げられたのはステージ4の膵臓がん。極めて予後が悪いとされるこの病に対し、彼は延命治療よりも「役者として死ぬこと」を選んだ。抗がん剤の副作用で体力が衰える中、彼は過酷なロケ現場へと向かい続けた。
信じがたいことに、彼は亡くなる前日まで仕事を続けていた。映画『永遠の0』や『そして父になる』の撮影現場では、病魔に蝕まれていることなど微塵も感じさせない、力強い演技を披露していたのだ。そのプロ意識は、共演者やスタッフの心を激しく揺さぶった。