昨今のテレビ放送・映像制作業界における歴史考証は、かつてないほどの精密さと科学的根拠を伴って進化している。従来の固定観念に基づく人物描写から一歩踏み込み、遺品の3Dスキャンデータや解剖学的な見地を取り入れた映像表現が次々と試みられている。
幕末の合戦場や緊迫した政治の場で、西郷が周囲の人物とどのような空間的スケール感で接していたのかをCGや特殊技術で緻密に再現するアプローチも珍しくない。後年の病や肥満に苦しみながらも不屈の意志を貫いた生々しい身体性を画面上に描き出す試みは、神格化された英雄像を血の通った一人の人間のドラマへと引き戻す豊かな役割を果たしている。