1970年代末から80年代初頭にかけて、日本のパンク・ロック黎明期に関西で爆発的な伝説を残したバンドがINUだった。当時、町田町蔵と名乗っていた十代の怪物は、剃刀のような言葉の連射と圧倒的なアジテーションで聴衆の度肝を抜いた。1981年にリリースされた名盤『メシ喰うな』は、当時の硬直したロックシーンに叩きつけられた宣戦布告であり、今なお不朽の金字塔として語り継がれている。
意味の整合性を解体しながら情景を鮮烈に浮かび上がらせる歌詞の強度は、すでに後年の文学的萌芽を十二分に宿していた。怒りや苛立ちを単なる叫びで終わらせず、高度に構築されたリズムとアイロニーへ昇華させる手法は、パンク少年・町田町蔵の時点で完成されていたと言っても過言ではない。