一方で、参拝客の急増や近隣の住環境への配慮から、新たな課題も浮上している。混雑する境内での煙の濃度や、近隣住居への匂い移りに対する苦情が一部で寄せられるようになったためだ。
こうした声に応えるべく、製香メーカーや老舗の香堂は技術開発に乗り出した。従来の豊かな香りを維持しながら、目に見える微粒子(煙)の量を7割以上カットする「低煙技術」を開発。さらに、バイオマス由来の発酵素材を混ぜ込むことで、燃焼時の二酸化炭素排出量を抑制する取り組みも始まっている。
また、世界的な乱獲で枯渇が懸念される沈香などの香木については、東南アジアの持続可能な農園と直接契約を結び、トレーサビリティを確保した原材料のみを使用する動きが定着。伝統の風景を守りつつ、地球環境と調和させる模索が続いている。