番組出演以前から、杉田陽平は日本の現代美術シーンにおいて特異な才能として知られていた。絵の具そのものを立体的な塊として扱い、絵画でありながら彫刻のような物質感を宿す独自の手法。重層的に塗り重ねられたアクリル絵の具が乾燥する過程で見せる偶然の表情と、緻密な計算が同居するその作風は、すでに熱心なアートコレクターたちを唸らせていた。
しかし、番組出演を契機にその評価のうねりは一気に加速した。個展を開催すれば即日完売。オークションハウスでは予想落札価格を遥かに上回るプライスがつき、美術手帖や専門誌だけでなく、一般のカルチャー誌やビジネス誌までもが彼の特集を組んだ。単なるタレント化を危惧する声をよそに、本人はストイックにアトリエに籠もり、キャンバスと対話し続けた。メディアの狂騒に迎合するのではなく、手に入れた知名度という光をすべて制作へのエネルギーへと変換していったのだ。
近年では国内にとどまらず、アジア各国の主要アートフェアや欧米のギャラリーからも熱い視線が注がれている。感情の揺らぎや生命の儚さをダイナミックなマチエールに封じ込める彼の作品は、言葉の壁を越え、グローバルなコレクター層をも魅了してやまない。