母・坂口良子さんは、ドラマ『前略おふくろ様』や『池中玄太80キロ』などで見せた愛らしい笑顔と確かな演技力で、日本中から愛された大スターだった。しかし、私生活は壮絶を極めた。元夫が残した莫大な負債を返済するため、彼女は寝る間も惜しんで働き詰めの日々を送る。
返済に追われながら幼い二人の子どもを育てる重圧。母親として子どもたちに不自由をさせまいと過保護なまでに愛情を注ぐ一方で、家庭内には常に金銭トラブルと見えない影が漂っていた。父親という存在が突如として消え去り、母親が必死に借金と戦う姿を見て育った経験が、後の杏里の精神構造に決定的な歪みを生じさせたことは否めない。