少女が生まれ育った家庭は、一見すると地域社会の模範のような名家だった。弁護士として地元で確固たる地位を築いていた父親、教育熱心で礼儀正しかった母親、そして優秀な兄。だが、その完璧に見えた家族の歯車は、母親の病死という不幸を機に狂い始める。
実母の他界後、父親は間を置かずに再婚へと動いた。この急激な家庭環境の変化に対し、当時中学生だった徳勝もなみが示していた激しい混乱や反発を、周囲の大人は深刻に受け止めきれなかった。再婚をめぐる確執の末、少女は高校進学と同時に一人暮らしを命じられる。15歳という若さでの独立生活は、庇護すべき親による事実上の孤立化であり、精神的な破綻を加速させる直接の引き金となった。
家庭内での対話が途絶え、孤立した部屋で研ぎ澄まされていった異常な好奇心。密室化された生活環境と複雑な家族関係が生み出した闇は、周囲が察知した時にはすでに修復不能な段階へと達していたのである。