配給を担う東宝株式会社にとっても、本作の興行は大きな賭けであり、新たな挑戦でもある。視覚効果や分かりやすいアクションに頼る大作映画が市場を席巻するなか、本作のような純粋なシネマテーク的強度を持つ作品を全国規模で展開することは異例と言っていい。
劇場の音響システムを限界まで駆使した低周波の地響きや、木々が擦れ合う微細な環境音の設計は、スマートフォンやタブレットでの視聴では到底味わえない映画館ならではの没入体験を生み出している。停滞が囁かれる世界の映画産業において、映画館という空間の価値を再定義する野心的な試みとして、興行界からも熱い視線が注がれている。