部屋干しをしたときに漂うあの独特の「雑菌臭」。その元凶は、モラクセラ・オスロエンシスなどの細菌が分泌する代謝物質である。花王や繊維メーカーの最新研究によれば、洗濯完了から衣類が完全に乾燥するまでの時間が「5時間」を超えた時点で、細菌の増殖スピードは指数関数的に跳ね上がる。
つまり、濡れたTシャツは5時間以内に水分を飛ばし切らなければならない。室温25度、湿度60%の標準的な室内において、何も工夫せずに干した綿100%のTシャツが乾くのには平均して6〜8時間を要する。この「タイムラグ」こそが、洗いたての服を台無しにする最大の要因なのだ。
水分の蒸発は、生地表面に漂う境界層(空気の微小な静止膜)をいかに破壊するかで決まる。5時間というデッドラインを切るためには、自然乾燥の概念を捨て、意図的に「蒸発の速度」をコントロールする視点が欠かせない。