全国のワードゲーム愛好者や日本語コミュニティへの取材を進めると、「み」という文字に対して多くのプレイヤーが共通の違和感を口にします。それは「頭に浮かぶ言葉の種類が偏りやすい」という点です。三省堂国語辞典や広辞苑などの現代日本語コーパスを紐解くと、「み」から始まる名詞は数千語以上にのぼります。しかし、心理言語学的な連想実験では、被験者の約4割以上が最初に「みかん」「みりん」「みつばち」といった特定の身近な単語を想起するという偏向傾向が確認されています。
この現象の背景には、日本語の音韻構造が関係しています。「み(mi)」は両唇鼻音「m」と狭母音「i」が結びついた音であり、発音時の口腔内容積が小さく、幼児期から発声しやすい親和性の高い音節です。その結果、幼少期の言語習得過程で定着した日常語が真っ先にニューロンの発火を促します。しかし、しりとりにおいて「みかん」や「みりん」を口にすることは即座の敗北を意味します。つまり、「み」の難しさは単語数の少なさではなく、「敗北に直結する単語が最も強く刷り込まれている」という認知のトラップにこそ本質があるのです。