日本が世界に誇るデニムの聖地、岡山デニムの機元や染色職人たちもこの風潮に警鐘を鳴らし続けている。職人たちが丹精込めてロープ染色したインディゴは、適度な水洗いを経ることで初めて余分な雑味が抜け、澄んだ美しいブルーへと育つ。皮脂で黄ばんだ生地の上に残る色は、純粋な色落ちとは似て非なるものだ。
また、日本を代表するナショナルブランドのエドウイン(EDWIN)の開発現場でも、ステッチ切れの主原因として皮脂汚れが指摘されている。綿糸で縫製されたクラシックな仕様ほど、油分による腐食を受けやすい。大量消費を脱し、1本の服を長く愛用することが求められる現代のアパレル産業(Apparel Industry)において、耐久性を犠牲にする放置プレイはもはや過去の遺物となりつつある。