暗転の瞬間は2017年8月に訪れた。それまで語られることのなかった遺書の「もう一つの文章」が存在することが明らかになったのだ。そこには、子宝に恵まれない身体的理由に対する葛藤とともに、上原多香子の心がすでに別の男性へと離れていたことを示唆する痛烈な言葉が並んでいた。
遺書の中でTENN氏は、妻の裏切りを知りながらも彼女の未来を案じ、自らの存在が彼女の重荷になっていると嘆いていた。さらに、決定的な証拠となったのがスマホの画面を撮影した写真である。二人が交わした「LINE」でのやり取りには、夫の目を盗んで愛を囁き合い、将来の展望まで語り合う生々しい会話が刻まれていた。秘められた不倫愛の全貌が白日の下に晒されたことで、死の真因は個人の心理的迷走から、人間関係の破綻が引き起こした泥沼の悲劇へとその色合いを塗り替えた。