しかし、問題はディンクレイジの批判だけで終わらなかった。多くの低身長症を抱える当事者俳優たちから、予想外の反発が沸き起こったのだ。プロレスラーであり俳優でもあるディラン・ポストルらは、「当事者の表現機会を奪わないでほしい」と公に訴えた。
ハリウッドにおいて、低身長症の俳優がメジャー映画でメインキャストとして出演できる機会は非常に限られている。ステレオタイプな描写を避けるという「配慮」が、結果として彼らの貴重な配役と仕事を奪うという皮肉な現実が生じたのである。差別表現の排除という大義名分と、当事者俳優の生活と表現の場。表現の倫理をめぐる議論は、逃げ場のない二項対立へと陥っていった。