2018年、第100回全国高校野球選手権記念大会。金足農業のベンチに控える選手たちは、ひたすらにレギュラー9人の背中を押し続けた。エース・吉田輝星(現・オリックス)がたった一人でマウンドを守り抜き、打線は土壇場で驚異の粘りを見せる。横浜高校戦での逆転3ラン、近江高校戦での劇的なサヨナラ2ランスクイズ――まるでドラマのように紡がれた勝ち筋に、日本中が酔いしれた。
特筆すべきは、チームの主力が秋田県内の軟式野球出身者で固められていた点だ。全国からエリートを集める私立強豪に対し、雪国で雑草のごとく鍛え上げられた地元っ子たちの泥臭い野球。それは、データ分析や効率主義が急速に浸透しつつあった現代スポーツへの、もっとも泥臭く美しいアンチテーゼでもあった。