竹林の小径に一歩足を踏み入れると、世界中で大ヒットしたハリウッド映画『SAYURI』(原題:Memoirs of a Geisha)の劇中で、主人公が漆黒のクラシックカーに揺られながら通り抜けたあの幻想的なシーンが脳裏に蘇ります。青竹が織りなす緑のトンネルと木漏れ日のコントラストは、まさにスクリーン越しの美しさそのものです。
小径の途中にひっそりと鎮座するのが、黒木鳥居と見事な苔庭で知られる「野宮神社(ののみやじんじゃ)」です。この場所はかつて、伊勢神宮に奉仕する斎王が身を清めた神聖な地であり、平安時代の文学作品『源氏物語』「賢木(さかき)」の巻の舞台としても名高く知られています。作者である紫式部が描いた王朝文学の情緒が、一千年の時を超えて今なお色濃く漂う歴史的なスポットでもあります。縁結びや学問の神様としても厚い信仰を集めており、竹林散策には欠かせない立ち寄りどころです。