「魚と人は一緒だ。無理に飾ろうとすれば、すぐにボロが出る」——そう笑う創業店主の目には、数々の修羅場をくぐり抜けてきた男だけが持つ光がある。若い頃は自ら船に乗り、海と格闘する日々を送っていた。しかし、過酷なシケや不漁、時代の荒波に直面し、何度も挫折の淵に立たされたという。
板場に立つ背中に刻まれたシワの一つひとつに、生き様と苦闘の歴史が宿る。店を立ち上げた当初の資金難、仲間との衝突、そして家族の支え。単なる飲食店経営を超えた濃厚なヒューマンドラマが、あの温かい一杯の味噌汁や海鮮丼の深みとなって客の心へと響いていく。