今回の調査は、描かれた当時の色合いについても新たな事実を明かした。現在、黒ずんだ雲として見える部分は、制作当時は眩いばかりの白銀色に輝いていたことが確定した。銀箔や銀泥が数百年という歳月の中で硫化し、重厚な黒褐色へと変化していったのだ。
宗達は銀が時とともに黒く変化することを見越していた可能性がある。金箔の煌めきと、銀の経年変化が生み出す陰影の対比。時間の経過そのものを作品の一部として取り込む発想は、現代のメディアアートにも通じる。2026年のデジタル復元技術は、完成直後の「黄金と白銀の対比」をバーチャル空間上に完璧に再現している。