幼い頃から家庭内は常に「女子の天下」だ。テレビのチャンネル権からリビングの居心地まで、権力構造の頂点にはいつも姉たちが君臨していた。そんな環境で育った末っ子長男は、呼吸をするように「他者の顔色や空気感」を察知する術を身につけていく。
「姉が不機嫌になる直前のサインが一瞬でわかる」「理不尽な言動を正面から受け止めず、すんなり受け流す技術がある」。当事者から聞かれるのは、こうした生存戦略としてのコミュニケーション能力だ。家庭内で叩き込まれたこの「空気察知能力」は、大人になって社会に出た際、強力な対人スキルへと変化する。