「右手の薬指や人差し指じゃダメなのか?」という素朴な疑問は当然湧く。指輪を楽しむ場所など、いくらでもあるはずだ。あえて誤解のリスクがある左手薬指を選ぶ理由はどこにあるのか。
理由は、人間の身体構造と視界のメカニズムにあった。利き手である右手は、日常の動作で酷使される。パソコンのキーボードを叩く、スマホを操作する、ドアノブを握る。装飾の大きいリングや繊細な宝石がついたデザインだと、右手に着けていては傷がつきやすく作業の邪魔になるのだ。一方、左手薬指は動きが比較的少なく、指の中で最も細く綺麗に見える骨格ラインを持つ。さらに、ふとした瞬間に自分の視界に入りやすい位置でもある。「他人の目」ではなく「自分の視界」を満たすためのベストポジション。それが結果として左手薬指だったに過ぎない。