この技術には大きく分けて二つの技法が存在する。一つは紙幣を縦に持ち、親指でスライドさせながら数える「縦読み(縦勘)」。もう一つは、紙幣を扇状に美しく広げて4枚ずつ、あるいは5枚ずつ数えていく「横読み(横勘)」だ。特に横読みは、見た目の華やかさも相まって、銀行員の代名詞とも言えるスキルとなっている。
実際にやってみるとわかるが、これは一朝一夕で身につくものではない。紙の厚み、滑りやすさ、その日の湿度によって指先の感覚を微調整しなければならない。ベテラン行員ともなれば、目をつぶっていても正確な枚数を数え上げることができるという。指先そのものが、極めて精密なセンサーと化しているのだ。