緑豊かな広島平和記念公園の一角に立つ広島平和記念資料館。その館内の一画で、かつて暗闇の中に浮かび上がっていた3体の人形がある。1945年8月6日、広島市への原子爆弾投下によって一瞬にして壊滅した街並みと、地獄の様相を再現した被爆再現人形だ。
薄暗い照明の中、熱線によって服が焼け焦げ、赤く爛れた皮膚を爪先まで垂らした女性や子供が、瓦礫の山を彷徨っていた。そのリアルすぎる造形と漂う不気味な空気感は、修学旅行で訪れた小中学生に絶大な衝撃を与えた。夜、夢に出てうなされた者もいれば、その恐ろしさのあまり途中で展示室を飛び出した者もいたほどだ。まさに、戦争の惨禍を物理的な「形」として見せつける、圧倒的な存在感だった。