かつての凶悪犯罪は、明確な動機や人間関係の縺れから生じることが多かった。しかし、ここ数年で日本の治安を脅かしているのは、SNSで緩やかにつながり、面識のない指示役に従って凶行に及ぶ「匿名・流動型犯罪グループ(通称:トクリュウ)」による事件だ。捜査一課の刑事たちは今、この実体の見えない亡霊のような組織と対峙している。
現場に残された物証から犯人を割り出す従来の手法だけでは、トクリュウの首謀者には辿り着けない。実行犯を逮捕しても、彼らは使い捨ての「捨て駒」に過ぎないからだ。捜査一課は現在、組織犯罪対策部やサイバー部門との連携を急速に強化し、実行犯の背後にいる「指示役」の特定に全力を挙げている。情報の海から一筋の光を見つけ出す作業は、砂漠で一本の針を探すような困難を極める。