世界各国で実施された社会実験の結果は、ベーシックインカムの可能性と限界の両方を浮き彫りにしています。
代表的な事例であるフィンランドの全国無作為実験(2017〜2018年)では、失業者2,000人に対して月560ユーロ(約7〜8万円)が無条件支給されました。検証の結果、懸念されていた「労働意欲の大幅な低下」は見られず、受給者のメンタルヘルスの改善や将来への安心感、主観的な幸福度が顕著に向上したことが確認されました。
また、米カリフォルニア州ストックトン市で行われた実証実験でも、給付金はギャンブルや浪費ではなく、食料品や公共料金の支払いなど生活必需品に充てられ、フルタイム就労への移行率がむしろ高まるという好結果が得られています。
しかし、これらの実験はいずれも「限定された人数・期間限定」で行われたパイロット事業であり、国家財政全体で永続的に制度を維持できるかという財政的実証には至っていない点が共通の課題として残されています。