かつてメインストリームのエンターテインメント、殊にハリウッドの大作ヒーロー映画では、性的な描写や生々しい情感は極力排除される傾向にあった。しかし、世界的なヒットを連発してきたマーベル・スタジオもまた、時代の変化とともに新しい表現の領域へ踏み出している。
クロエ・ジャオ監督が手がけた映画『エターナルズ』は、同スタジオの歴史において明確なラブシーンを盛り込んだ初の作品として話題を呼んだ。太古から人類を見守ってきた超人的な存在が、肉体的な結びつきを通じて愛と命の尊さを確かめ合う。それは単なる話題作りではなく、大衆文化のど真ん中で生への人間的な情熱を真正面から描くという決意の表れでもあった。