池田小事件がもたらした影響は教育現場にとどまらず、日本の法制度そのものを動かしました。事件の教訓と法改正として特に重要なのが、教育法規の抜本的改定と司法精神医療制度の創設です。
第一に、文部科学省は従来の「学校保健法」を全面的に改め、2009年に「学校保健安全法」を施行しました。これにより、各学校における学校安全管理マニュアルの策定、定期的な安全点検、地域の警察や保護者と連携した防犯訓練の実施が法的義務として定められました。
第二に、司法分野においては、心神喪失や心神耗弱の状態で重大な他害行為を行った者に対する適切な医療と再犯防止を目的とした「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(医療観察法)」が2003年に成立(2005年施行)しました。事件における精神鑑定のあり方や精神障害者の処遇を巡る議論が、法整備を強く後押しした形です。